方向音痴

金 旧暦 6月15日 友引 癸未 八白土星 Elenora Ellinor V28 23893日目

建築家になりたい人は生まれつき方向感覚が良く無ければならないのではないかと思ふ。それとも努力すれば方向感覚は良くなるものだらうか。僕はひどい方向音痴である。道にすぐに迷ふ。建物に入っても、扉が向かひ合ふエレベーターのどれかに乗ると、降りた時にはもう外の景色に対してどっち向きだか分からなくなってしまふ。もっと難しいのは螺旋階段である。一階上に上がった時、どのフロアーでも非常口の位置が同じであるとして、昇った後のフロアーではどの向きに非常口があるか言ひあてることができない。かう言ふ人間は建築家にはなれないと思ふ。それから、新橋駅とか神田駅の様に道路と鉄道が斜めに交差してゐると、もうそれだけで、改札口を出てからひどく戸惑ふ。大阪駅でも阪神のりば、阪急のりばとの位置関係がなかなか頭に入らない。こんな僕でも、その昔、方向感覚を良くしようと思って努力したこともある。例へば地下鉄のホームに降りてから地上階に出るまでの間に、頭上を走る通りや交差点の様子を頭に思ひ浮かべながら歩いてみる。あの食堂の角に出るのはこの階段を昇れば良いのかなと案内板を見ずに地上に出ると、出てから横断歩道を渡らなければならないことが多い。3ヶ月ほど前、韓国でフェリーの事故があったが、非常事態では、咄嗟の判断で方向感覚を誤ったために命取りになる場合が無いとも限らない。人間は年をとるとだんだんぼけて行く。ぼけのひとつの特徴は自分が今何処に居るか分からなくなることだ。普段から方向感覚を磨く練習をすればぼけ防止になるだらうか。もしかして、建築家はなかなかぼけないんじゃないかと思ふが、この仮説は当たってゐるかどうか分からない。