急がなくて良い暮らし

2020-11-25 (水)(令和2年庚子)<旧暦 10 月 11 日> (友引 壬申 七赤金星) Katarina Katja   第 48 週 第 26220 日

 

毎日家に居るだけの暮らしで、一番ありがたいことは、何をするにつけても急がなくて良いことである。まづ、朝起きた時から、さあ今日はアレとアレをやるぞとか、前向きの気持ちになれる日はほとんどない。やっと起きる。しかし、元気がないながらも、体重計に乗ったり、スクワットをしたり、冷水摩擦をしたり、洗顔したりするお決まりのコースをひとつずつこなすうちに次第に元気が出てくることが多い。これは半ば儀式であるので順番を間違へてはいけないのだ。本当に調子が悪ければこの様なお決まりのコースもできないだろうと思ふ。朝はいつも鏡を見ながら「先を急がなくて良いんだよ。今これをやる間は他のことは何も考へなくて良いんだよ」と自分に言ひ聞かせる。すると何とも言へず気持ちが落ち着いてくる。これはもう年老いたせいでさうなのかもしれないが、もともと僕はスローな人間であるので、この急がずに生きることができることをつくづくありがたいことと思ふ。

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曇り空に暮れ急ぐ南天の地平のあたりだけ明るい

 

ゴミ袋

2020-11-24 (火)(令和2年庚子)<旧暦 10 月 10 日> (先勝 辛未 八白土星) Gudrun Rune   第 48 週 第 26219 日

 

少し前までは、スーパーで買物をした時のレジ袋はゴミ袋にすることが多かった。けれども、レジ袋有料化で、これはスウェーデンでは随分昔からさうであったのだが、この頃は各家庭のゴミ袋が不足がちになって来た様である。スウェーデンの僕の住む区域では、台所で出る生ゴミは一般の燃えるゴミと区別して、緑色の専用ポリ袋に入れて、コンポスト専用のコンテナに出す様になってゐる。この緑色のポリ袋はスーパーなどに置いてあるのを持っていけば良い。ところが、無料であるので、本来のコンポストのゴミとして出す以外にも一般のゴミ袋として使用する人が増えて困ったと、地方紙に出てゐた。僕は、自分の部屋では小さいゴミしか出ないので、買った製品などのパッケージを剥がすときに丁寧に剥がして、それをゴミ袋にすることが多い。また、資源ゴミとして出すべきものは、別の回収袋に入れる。この頃は毎日散歩するのでそのついでに、途中にあるゴミステーションに寄って出す。毎日出すなら、金属、プラスチック、紙などの区別をせずにひとつの回収袋に入れて持って行き、現場に着いてから区分けしてもさほど時間はかからない。この時、PantaPå のアプリを開いて牛乳のパックなどはスキャンする。この様にすれば回収ゴミ袋は一つで済む。この回収ゴミ袋は何日間か、同じものを繰り返し使ふことにしてゐる。

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町へ行った。中空に吊らされた球は年末のイルミネーション。

 

平家物語「小教訓1」

2020-11-23 (月)(令和2年庚子)<旧暦 10 月 9 日> (赤口 庚午 九紫火星)勤労感謝の日 Klemens   第 48 週 第 26218 日

 

新大納言成親卿はひとまの部屋に押し込められてゐたが、汗水を流しながら「ああ、これはふだんの計画が漏れてしまったのだな。一体誰が漏らしたのかしら。おそらく北面の者共の中の誰かではあるまいか」など、自分たちの陰謀が発覚した理由をあれこれと考へてゐらっしゃったのだが、後ろの方から高い足音が聞こえてきた。大納言は、すは、我が命ももはやこれまでかと覚悟して、武士どもが来るのをお待ちになったのだが、板敷を高らかに踏みならして近づき、うしろの障子をサッと開けて現れたのは入道清盛その人であった。素絹の衣を短く着、白い大口袴の裾を内側に丸めこみ、ひじりづかの刀が今にも抜け出しさうなままで、満面に怒りをたたへて大納言をしばし睨みつけた。「そもそも御辺は平治の乱でも信頼の側について敗れたのです。本来ならそこで殺されるところでした。それを我が長男の重盛が体を張って命乞ひをしたからこそ、助かったのではありませんか。何の遺恨があって平家一門を滅ぼそうとご計画をなさったのですか。恩をしるを人とはいふのです。恩をしらぬは畜生です。当家の運命がつきずにあるからこそ、かうして御辺をお迎へできたのではありませんか。御辺がどの様に計画をなさったか、とくと私が直接聞きませう」すると大納言は「全くその様なことはございません。誰かが讒言したのでせう。よくよくお調べください。」としらを切った。その言葉が言ひ止まないうちから、入道清盛は「人やある、人やある」と叫んだ。すぐに貞能が来た。「西光が白状した紙を持って参れ」と命じた。貞能はすぐに持って来た。これを手にとって二、三返繰り返して読み聞かせ、「ああ、憎いやつだ。この上何を申し開きしようといふのか」と言って、大納言の顔にサッと投げかけて、障子をピシャリと閉めて出て行かれた。入道清盛はなおも腹に据えかねて「經遠、兼康」と呼ばれた。すぐに瀬尾太郎、難波次郎が来た。「あの男をとって庭へ引き落とせ」とお命じになった。しかし、この二人の荒武者はさう簡単に手をかけなかった。かしこまって、「小松殿がどの様にお考へになるでせうか」と申し上げた。入道相国はまた怒り狂った。「よしよし、お前たちは重盛の命令を重く受け取って、清盛の命令は軽く聞き流すといふのだな。それではおれも仕方がないことよ」これを聞いた二人は、このままではまづいと思ったのであろう、立ち上がって、大納言を庭へ引き落とし申し上げた。入道は機嫌が良くなって「とってふせて喚かせよ」と命じられた。二人の者共は大納言の左右の耳に口を近づけて囁いた。「手荒なことはいたしません、お声だけ、さも苦しさうに張り上げてください」と申し上げてから、手足を引きふせた。大納言は大げさな悲鳴をふた声、み声立てられた。響き渡るその叫びたるや、冥土にあって娑婆世界の罪人を、あるいは業のはかりにかけ、あるいは浄玻璃の鏡に引き向けて、罪の軽重に応じて閻魔王が責めさいなまれるとかいふ話も、これほどではあるまいと思はれるほどであった。昔、漢の高祖に仕へた蕭何、樊噲、韓信、彭越はいづれも忠臣であったけれども、蕭何、樊噲は囚はれ、韓信、彭越は殺されて肉を塩漬けにされた。また、漢の景帝の臣であった鼂錯は殺され、周魏は罪を受けた。つまらぬものの讒言で禍敗の恥を受けたのはこの様な状況であったのであろうか。新大納言は、自分はかうなってしまったが、我が子丹波少将成經をはじめとして幼いものたちはどんな目にあふだろうかと思ひやると気が気ではなかった。こんなに暑い六月に、装束も緩やかにせず、暑さも耐へ難く、胸にせき上ってくるものがある心地がして、汗も涙も争ふ様に流れるのであった。「まさか小松殿は私をお見捨てになることはあるまい」とつぶやくが、誰をやってお願ひしようかとも思ひつかないのであった。

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秋の日差しの中の S:ta Katarina kyrka

 

睡眠

2020-11-22 (日)(令和2年庚子)<旧暦 10 月 8 日> (大安 己巳 一白水星)小雪 上弦 Cecilia Sissela Domssöndagen   第 47 週 第 26217 日

 

せっかく眠りについたのに、30分ほどで目が覚めてしまふことがある。小さい頃から、どんな条件下でもよく眠るのが僕の特技であったのだが、この頃少し様子が違ふ。目が覚めたのなら、いっそ起き上がって何かすれば良いのだが、そこまでは元気がない。それでそのまま横臥を続ける。スマホを取り出してニュースを見たりする。ますます眠れなくなる。そのうち寝たかと思ふとまた覚める。トイレに立てばその帰りに酒を一口舐めることもある。長い夜を悶々と過ごす。漸く朝になってから再びウトウトと眠りにつく。日が高くなってなって起きる。なんだかあまり良いリズムではないのだが、この頃はこんな日課になってしまった。怠惰な自分を責める気力もない。若い人たちに申し訳ない気はする。寝てゐる間はどれほど良く寝たか自分ではわからないものだ。眠れない間だけ、「眠れない」と意識されるけれども、全体としてはやはり良く寝てゐるのだと思ふ。睡眠は健康のもとである。

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晴れ間があったが風強し

 

「Go To トラベル」の一部制限

2020-11-21 (土)(令和2年庚子)<旧暦 10 月 7 日> (仏滅 戊辰 二黒土星) Helga Olga   第 47 週 第 26216 日

 

新型コロナウイルスの感染者の急増で、日本では観光需要喚起策「Go To トラベル」が一部制限されることになった。コロナは怖いが、お客さんが来てくれなくなるのも関係者にとっては大問題であろうと思ふ。コロナの影響をもろに受けて苦しむ業界がある一方で、むしろコロナが追ひ風になって潤ふ業界もあるのは皮肉なことだと思ふ。例えばスウェーデン郵便事業を手がける Postnord は随分利益が増えたといふニュースも、先週であったか、見た。日本での1日あたりの感染者の数は今日 2500人を超えたが、スウェーデンでは昨日 7240 人を記録してゐる。人口が10分の1以下の国であることを思へばすごい数である。医療崩壊が起きねば良いがと心配してゐる。スウェーデンはあまり制限をせずに人々の自主に任せることが基本であるとされてきたが、流石に最近は、飲食店で午後10時以降のアルコールの注文は禁止されたり、集会は最大8人までと変更になった(以前は50人以上の集会が禁じられてゐた)。そんなニュースばかり見ると、今日は天気も悪かったし、心も重い一日であった。夕食後の散歩も雨が降り始めたので途中で切り上げた。NHK world の大相撲番組 Grand Sumo を一日遅れの中継放送で見た。

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時々弱い雨の降る一日であった

 

冬支度

2020-11-20 (金)(令和2年庚子)<旧暦 10 月 6 日> (先負 丁卯 三碧木星) Pontus Marina   第 47 週 第 26215 日

 

夕食後の散歩の時間には、この頃はあたりがすっかり暗くなるので、懐中電灯をつけて歩く。最近の懐中電灯は皆 LED であるので、何年も前から買い置いてある予備の豆電球は次第に使ふ場所がなくなって、そのうちに捨てねばならないと思ふ。歩けば家々にはもうクリスマスのイルミネーションが付いたところも多い。今年の第1アドベントは11月29日である。そろそろ我が家でもイルミネーションをつけるべきかと思って、今日の午後はその作業をした。家の前に植わったイチョウとモミジはすっかり葉を落としたので、それらの梢に白と赤が交互に配列されたLEDの長いワイヤを取り付けた。木は今では背が高くなったが、あまり高いところまでかけようとすると怪我をするかもしれない。安全を思って割と低い梢だけにかけた。これは毎年の行事である。自分のブログを検索してみると去年は11月30日につけたことがわかった。去年より少し早いが、もうつけて良い時期であると思ふ。

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久しぶりの青空であった。近くの教会の鐘楼の部分

 

Elon Musk がコロナに感染した話

2020-11-19 (木)(令和2年庚子)<旧暦 10 月 5 日> (友引 丙寅 四緑木星) Elisabet Lisbet   第 47 週 第 26214 日

 

Tesla の創業者である Elon Musk は、11月8日にスウェーデンの Stora Sundby slott でプライベートパーティに参加したが、この訪問中に別のアメリカ人からコロナ感染したらしいことを今日の地方紙 Södermanlands Nyheter で見た。Elon Musk は米国に帰ってから変な症状に苦しみ、コロナウイルスのテストを4回受けたが、そのうちの2回の検査で陽性と出た。これは短いスウェーデン滞在で感染したものであると確認し、Twitter では「とても皮肉なことだ」と書いたさうである。彼はテストに懐疑的になってゐる。同じタイプのテストを同じ看護師のもとで同じ日に受けたのに結果が異なるのはをかしいといふ訳である。大富豪だから4回も受けられたのかもしれないが、もしテストがそれくらい結果のバラつくものならば、1回だけしかテストを受けない一般の人の結果は信頼性が低いのではないか。Elon Musk はこれまで米国のさまざまな州での感染管理の在り方を批判してきたし、厳格に人を隔離するやり方にも反対してきた。名前はマスクでも普段マスクはしないのだと思ふ。この夏にスウェーデンの感染曲線が減少したことを見て、「スウェーデンのやり方は正しい」と10月ごろにツイートしたこともある。しかし、そのスウェーデンでもいまや感染者が日に 4000 人、5000 人を数へる勢ひである。トランプ大統領イーロン・マスクもコロナに感染した。必ずしも社会の弱者だけが感染するわけでないことはわかった。感染しても重症にならずにすむ人は運が強いと思ふが、皆が軽症ですむわけでもない。自信家の人たちの中には「あれは風邪の一種だよ」といふ考への人もゐる様に見受けられるが、重症で苦しんだ人の体験談に耳を傾けて、皆が身を守る様に心を引き締めなければならないと思ふ。

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夏には涼しさを感じさせる白樺の白い幹も寂しく感じられる季節である